2007年09月10日

第六回のゲスト:八代亜紀さん

丹まさとと語る演歌もう一杯!

第六回のゲスト:八代亜紀さん
今回のゲストは、演歌からスタンダード、ポップスまで抜群の表現力で歌いこなす国民的歌手であり、画家としても超一流の活躍を続ける八代亜紀さん。キーワードは“苦労”です。


【若者を励ます歌】
:7月18日に出た「立ち呑み「小春」」、とてもいい歌ですね。
八代:ありがとうございます。やっぱり応援歌なんですね。いわゆる団塊の世代、お父様たちへの応援歌が多いですけど、私が思うには、団塊の世代の方たちは頑張ってきて、知ってきた道をお休みしてるんです。若者は知らない道をこれから歩んでいくわけですよ。だから、お父様、お母様たちは、若者をこれから導いていきましょって。私は数年前から若者を応援しようっていうポリシーでやってきたんですけど、この曲はぴったしなんですよ。〈なっちゃん泣くな べそ掻くな〉っていうフレーズも、「なんかあったのかな?」「東京で失恋でもしてきたのかな?」っていう世話焼きおじさんの歌で。
:とてもいい設定ですよね。
八代:女将もお客さんも苦労人だっていうところがまたすごくいいですよね。若者を励ます歌ですし、本当にあったかい。この〈なっちゃん〉の部分を自分の名前で歌って欲しいっていう要望も多いんですよ。(作詞の)もず唱平先生も(作曲の)円広志さんも、〈唱平、泣くな〉〈広志、泣くな〉って歌って欲しいって(笑)。
:9月19日にはアルバムも出されますね。
八代:はい。『彩月〜いろどりづき〜』と言いましてね。この「立ち呑み「小春」」とか、その前に出した「鰻谷」とか、シングルとして作られた歌ばっかりなんです。松山千春さんの「宗谷岬」も入っていたり、どれも本当に素晴らしくて。9月は“色どり月”という別名があって、“いろんな色がつく月”ということだと思うんですけれど、今回は女の子の新人ディレクターが手掛けた作品で、今までとは違う味で八代亜紀を料理しているので、おもしろい作品になっていると思いますよ。

【全然苦労じゃないんですよ】
丹まさとと語る演歌もう一杯!:いつ頃から歌に興味を持つようになられたんですか?
八代:もともと父が絵描き志望で、幼い頃から父が絵を描くのを手伝ったり、「亜紀も描くかい?」って言われて描かせてもらったりしていて。その合間にお父さんが「休憩しようか」ってギターを弾きながら歌ってくれたの。だから幼い頃から歌と絵といつも一緒だったんですね。それで、小学校高学年の時に、父が買ってきたジュリー・ロンドンのアルバムをきっかけにクラブ・シンガーになろうと決意して。でもクラブ・シンガーなんて言ったら、当時は「不良だ」って絶対に家から出してもらえないと思ったので、歌の道に進むステップとしてバスガイドになったんです。けれど、当時私は10代でピーピーひやかされて、歌うどころか喋ることもできなくて。それで、ガイドをやってるフリしてクラブで歌ったんですね。それがバレて。叱られましたねぇ……。
:そういう時代だったんですね。
八代:そうですね。でも、お父さんが誤解していることを絶対証明しなきゃって、16歳の時に「歌の勉強しに東京に行かせてください」って言ったんですね。もうそれはそれは修羅場だったんですけど。
:絵が描けて、歌が上手で、ざっくばらんで。だから、そんな苦労をされてるとは思いませんでした。
八代:苦労じゃないと思ってましたから。ただ、練習はすごくしてましたね。でも、お金はなかったので自分でレッスンしてました。東京に出る前は実家が運送会社でトラックが何台もありましたので、運転手にエンジンをかけてもらって、ガーッと鳴ってる中で車に閉じこもって発声の練習をして。東京へ来てからも、屋上へ上がらせてもらって練習をして。ただ、それは全然苦労じゃないんですよ。だって自分の好きな道でしょ。「なみだ恋」が売れる前も、30日で28日キャバレー廻りをしたんですけど、歌いだすと「すごいね」「いつか世に出るよ」ってみなさん言ってくれて。そう言われると苦労も吹き飛んだんですよ。
:苦労はしても、全然苦労だとは思わなかったんですね。

【歌はどれも難しくないです】
丹まさとと語る演歌もう一杯!:八代さんは結構低い声が出ますよね。
八代:低い声も出るんですけど、私のキーは女性の通常のキーよりも一音高いんです。感覚では低そうに聴こえるけど、私のキーで歌うと普通の女性は高くて歌いづらいんですよ。
:そんな八代さんに、アマチュアの人たちに対して、歌がうまくなる方法を教えてほしいと思うんですけど。
八代:やっぱり一番気を付けて歌わなきゃならないのは、リズムに乗って歌うことですね。小節を崩して最後だけ合わせるような歌い方をする方がよくいるんですけど、どの歌もリズムがあって、テンポがあるわけですから。リズムをしっかり取って、その歌のテンポで歌う。その中で感情は自然と出てきますから。作らなくていいんです。作ろうとすると間延びしちゃったり、無理に合わせようとして最後がウ〜ウ〜ってバイブレーションになっちゃったりとか。
:ということは、リズムをしっかり聴いて。
八代:そうです。リズムっていうのはすごい大事なんです。リズム感。やっぱりリズム感がないと歌はうまくならないです。「立ち呑み「小春」」も、歌いだしは〈ここは〜〉って、ちょっと浪曲風に歌って味わいを出しているんですけど、リズムはちゃんと合っているんですね。そういうことに気を付けてね。
:でも、この歌も結構難しいですよね。
八代:ちゃんと譜割を覚えれば、歌はどれも難しくないです。譜割を覚えてなくて自分流に歌おうとすると、「どうだったっけ?」みたいな感じになっちゃうんですよ。だからメロディーはちゃんと頭に入れないとダメです。カラオケとかだったら、歌詞は出てくるから覚えなくてもいいんだけど、メロディーは覚えないと、絶対に歌はうまくならない。メロディーは間違ったら最悪ですからね。

【80歳の「舟歌」】
:今後の夢はいかがですか?
八代:私の夢は80歳の八代亜紀なんです。
:それはどういう意味ですか?
八代:80歳になったおばあちゃんの八代亜紀が、1年に1回、「舟唄」を歌うらしいよって。それを一緒に80歳になった人にも若者にも聴きに来て欲しいんです。今は毎年100回ほどコンサートをしてますけど、おばあちゃんになるとそんな回数もできないでしょ。それに、その頃になったら画家の八代亜紀のほうが存在も大きいと思うの。それで、若者は「「舟唄」ってあの画家のおばあちゃんの歌なの!?」っていう風になりたい。それが私の夢です。そしたら悔いはないですね。


【八代亜紀 / プロフィール】
1950年生まれ。熊本県八代市出身。1971年に「愛は死んでも」でデビューし、1973年の「なみだ恋」が100万枚を超える大ヒット。独特のハスキー・ヴォイスと抜群の表現力で、その後も「舟唄」「雨の慕情」など数々のミリオンセラーを記録。現在も年間100回に及ぶ公演を行う国民的歌手。また、フランス「ル・サロン」展で5年連続入選、永久会員の資格を持つなど、画家としても超一流の活躍をしている。
『彩月〜いろどりづき〜』八代亜紀『彩月〜いろどりづき〜』
COCP-34494 3,000円(税込)
コロムビアレコード
9月19日発売
公式サイト http://yashiro.mirion.co.jp
posted by staff at 16:52| 対談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする